設立趣旨書
高齢者のQOL(生活の質)の低下につながる視力低下、失明の問題は「要介護者における眼科往診」として取り組むべき課題の1っとして重要なテーマとなります。
加齢とともに人間の身体的機能はあらゆる面で低下します。視力もその一つであります。 高齢者にとって、視力低下や失明など視力に関する問題は、外出頻度の低下や行動範囲の狭小化を招きます。また、日常生活動作の自立や認知機能の保持、心の健康の維持に関しても視力の保持が関係することが明らかになっています。これらのことから、視力低下や失明により視力機能が低下すると、高齢者の生活にも影響を及ぼすこととなり、高齢者のQOL(生活の質)の低下にもつながります。特に80歳を超えるとほとんどの人が発症する“白内障”が進行すると、視力低下により足元が暗くなり、たびたび転倒を来たし骨折に至ります。寝たきりに繋がり要介護度を押し上げる直接の原因となります。
今後は、視力低下や失明を予防するため、それらにつながる眼科疾患を早期に発見し、治療を行っていくことができる「眼科での往診」のシステム造りが高齢者の生活の中で必要となります。
ここ7ヶ年に亘る「在宅眼科」の実績をもつ医療機関からも、活動範囲に制限が加えられる1医院としての診療に変え、より広範囲での受入れが可能になる体制造りの必要性の訴えがされています。又、介護事業会社への「勉強会開催」実施等の試みから同じ志を抱く眼科医同志の相互連携と情報交換の“場”としての全体に及ぶ「活動母体」造りが急務との考えが芽生えてきています。
高齢社会に突入し、要介護者を取り巻く環境が激変する中、居宅や施設入居者の“目の健康”を守る「眼科往診の実施」は、未だ整備されてはいませんが重要なテーマとなると確信します。その活動を支援し継続的に推進していくことと、より専門性を求める担当医療機関間での連携を深めていく必要があるとの観点から、社会的にも認められた公的な組織<特定非営利活動法人格>にしていくことが最良の策であると考えました。
法人化することによって、組織を発展、確立することができ、将来的に高齢者の目の健康や眼科疾患に関する知識の普及啓発に力を注ぐ社会的責任を果たせる組織として活躍していきたく思います。
NPO法人として、営利を目的とせず、保健、医療又は福祉の増進を図る活動ができる団体として公益の増進を図って参りたく存じます。